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「屏風ヶ浦(ビョウブガウラ)」「国の名勝」「国の天然記念物」「ダブル指定」(銚子市)
 本日ご紹介するのは、地元「銚子市」「屏風ヶ浦(ビョウブガウラ)」の「国の名勝」、「国の天然記念物」「ダブル指定」です。

 「屏風ヶ浦」(2012年5月20日のブログ参照)ですが、「銚子市」(2010年9月20日のブログ参照)「名洗町」を「北端」に、「旭市」「上永井」の「刑部岬(ギョウブミサキ)」(2012年5月26日のブログ参照)が「南端」となる、「海岸線」に連なる「断崖絶壁(ダンガイゼッペキ)」、延々と10kmにわたる「海食崖(海蝕崖)」(海岸の絶壁)のことです。
 「屏風ヶ浦」は、「イギリス」と、「フランス」の間にある「ドーバー海峡」(英仏海峡)にある「白い壁(崖)」(ホワイトクリフ)に似ていることから、「東洋のドーバー」とも呼ばれ、「水郷つくば国定公園」(2012年8月3日のブログ参照)に属しています。
 「屏風ヶ浦」の迫力ある「風景」は、「ドラマ」・「CM」・「映画」・「プロモーションビデオ」などの「ロケ地」としても好まれています。

 「屏風ヶ浦」の「高さ」35m〜60mに及ぶ「岸壁」は、かつては「海底」であった「層」(「砂岩質」の「岩」の部分)の上に「関東ローム層」の「赤土」(「火山灰」が積もった「鉄分」が赤く酸化したもの)が堆積したものだそうです。
 「屏風ヶ浦」から崩落した「石」は「潮流」に乗って「九十九里浜」(2012年5月11日のブログ参照)へと流れて行き、「海岸」に打ち上げられる、「九十九里」では「飯岡石」と呼ばれています。
 「屏風ヶ浦」は、「砂岩質」の「土壌」が弱いのと、打ち寄せる「波」の「強さ」もあって、有史以来数キロに渡って「岸壁」は削られているそうです。

 「銚子市」との「境界」付近には、かつて「通蓮洞(ツウレンドウ)」(2012年6月3日のブログ参照)(風蓮洞)と呼ばれる「海岸侵食」によるものと思われる「洞窟(ドウクツ)」が存在していましたが、現在ではほとんど埋没しています。
 「屏風ヶ浦」は、「消波ブロック」の「設置」後、「陸地後退」は緩やかになりましたが、代わりに「九十九里浜」の「侵食」が見られ、「問題」となっているようです。

 「屏風ヶ浦」は、「海辺」から「広範囲」にわたって「地層」の様子を観察できる「場所」が少ないことから、非常に「貴重」な「存在」として評価されているそうです。
 なお、「屏風ヶ浦」は、「波」による「遭難」の「危険」を伴うため、実際に観察するために、「天候」が良いことや、観察できる「場所」(銚子マリーナ等)は限られています。

 「屏風ヶ浦」ですが、「護岸工事」が行われる以前は「年間」50cm〜100cmの「ペース」で侵食され、過去700年間で6kmの「陸地」が侵食されており、かつて平安時代末期に、「源義経(ミナモトノヨシツネ)」「家臣」の「武将」「片岡常春」の居する「佐貫城」がありましたが、現在、その「城址」は「海中」に没してしまったそうです。
 「屏風ヶ浦」は「夕陽」の美しい「ビュースポット」としても知られており、特に「秋」から「冬」にかけ、「屏風ヶ浦」の「先端」に沈む「夕陽」は「一見の価値」があります。
 また「屏風ヶ浦」では、「年」に何度か「西風」の強い日に、遠く「海上」に「世界遺産」の「富士山」の「姿」を見ることができ、「感動的」な「風景」が現れるそうです。

 「銚子市」では、2012年(平成24年)4月に「日本ジオパーク委員会」に「認定申請書」を提出、同年9月24日、「神奈川県」の「箱根」、「秋田県」の「八峰白神」、「秋田県」の「ゆざわ」、「静岡県」の「伊豆半島」と共に、「千葉県」の「銚子市」の5ヵ所を「地域」の「地形」や、「地質」を楽しめる「自然公園」「日本ジオパーク」に認定しました。
 「銚子ジオパーク」(2012年9月25日のブログ参照)ですが、「地形」の「特徴」や、「市民」が自主的に「ガイド」を務める「取り組み」が評価されたそうです。
 また「銚子ジオパーク」は、「関東」の「地下」にある「地層」が「海岸」で観察できる「屏風ヶ浦」や、「太平洋」に面した「海岸」に1億年以上前からの「地層」が「むきだし」となるなど「海岸沿い」にいくつもの「見どころ」があることなどから、評価されたようです。
 「銚子ジオパーク」は、大きくわけて、4つの「ジオサイト」に分かれており、「屏風ヶ浦ジオサイト」、「愛宕山(アタゴヤマ)・千騎ヶ岩(センガイワ)・犬岩(イヌイワ)ジオサイト」、「黒生(クロハエ)・夫婦ヶ鼻(メドガハナ)・宝満(ホウマ)ジオサイト」、「犬吠埼(イヌボウサキ)ジオサイト」となっています。

 「屏風ヶ浦ジオサイト」「詳細」は、下記の通りです。

 銚子半島の南西側の海岸には、高さ40m〜50mの海食崖が約10kmにわたって続く、「屏風ヶ浦」があります。
 屏風ヶ浦は、英国のドーバー海峡のホワイトクリフになぞられて、「東洋のドーバー」と呼ばれる景勝地です。
 屏風ヶ浦では、新第三紀鮮新世から第四紀更新世に堆積した犬吠層群に属する名洗層、飯岡層と、香取層、関東ローム層が見られます。
 名洗の遊歩道からは、これらの地層が西に向かって緩く傾斜している、雄大な景色を見ることができます。

 名洗層と飯岡層は、西に緩く傾斜し、不整合で香取層に覆われます。
 名洗層は、主に凝灰質砂岩からなり、ところどころに白いスジのように見える火山灰層を挟みます。
 その上位の飯岡層は、青灰色を帯びた泥質凝灰岩が主体であり、名洗層とは時間間隔をおかずにほぼ整合で接しています。
 飯岡層は不透水層であるため、その上を覆う透水性の香取層を通過した水が、ところどころで湧水として観察されます。
 銚子半島の洪積台地を削る谷地形は、この湧水による谷頭(コクトウ)侵食により形成されたと考えられます。

 田村ら(地質学雑誌、116(7)、360-373、2010)は、南関東に分布する250万年前の広域火山灰層の研究を行い、名洗層において、層厚2cmのざくろ石を含むテフラ層を報告しています。
 この広域火山灰層は、2009年に改訂された新第三紀と第四紀の境界層付近に位置するとして、注目されています。

 火山灰層を横に追って行くと、ところどころで正断層が観察されます。
 これは、この地域が引っ張りの場であり、波による侵食に弱いことを示しています。
 このため、屏風ヶ浦は、年間1m程度のペースで海岸が失われてきたと言われています。
 屏風ヶ浦の台地(下総台地)では、春キャベツが日本一の生産量を誇り、安定した風力を利用して34基(2011年現在)の風力発電施設が設置されるなど、地形的・気候的な特徴を活かした土地利用がなされています。

 ※以上「銚子ジオパーク」「HP」「屏風ヶ浦ジオサイト」より抜粋、原文まま表記。

 昨年(2015年)11月20日に開かれた「国」の「文化審議会」にて、「浮世絵師」・「歌川広重」の「大作」「六十余州名所図会」にも描かれた「屏風ヶ浦」を「国の名勝」及び「国の天然記念物」に指定するよう「文部科学相」に答申したそうです。
 (その後、「官報告示」を経て、「国指定名勝」、「国指定天然記念物」に指定される「流れ」)
 「屏風ヶ浦」が「名勝」及び「天然記念物」に指定されたことにより、「千葉県内」の「国指定名勝」は4件に、「特別天然記念物」を含めた「天然記念物」は17件となり、「国指定文化財」の「総数」は1件増え、133件となったそうです。
 (平成27年11月20日現在) 「屏風ヶ浦」ですが、その「特徴的」な「景観」は江戸時代の「浮世絵師」・「歌川広重」の「六十余州名所図会」や、「文学作品」などに描かれており、「鑑賞上」の「価値」も高いとして、「国の名勝」の「指定」につながり、上記のように「急激」な「風化」と、「侵食」を受けて形成された「地形」が、「地質学上」の「価値」が高いと評価され、「国の天然記念物」の「指定」につながったそうです。
 ちなみに「文化審議会」の今回(11月20日)の「答申」では、「屏風ヶ浦」(銚子市)など2件を「名勝」に、戦時中に「首相」を務めた「近衛文麿」が住み、「日米開戦」前の「重要」な「会議」の「舞台」になった「荻外荘(テキガイソウ)」(東京都)など9件を「史跡」に、「伊平屋島」の「念頭平松(ネントウヒラマツ)」(沖縄県)など5件を「天然記念物」に指定するよう、「馳浩文」「文部科学相」に答申されたそうで、近く「答申通り」告示され、「国の史跡」は1759件、「国の名勝」は398件、「国の天然記念物」は1021件になるそうです。
 このほか「富士山」などを望む「景勝地」で「信仰の地」としても親しまれた「十国峠」(日金山(ヒガネサン))(静岡県)など3件を「登録記念物」にすることも答申、「登録記念物」は98件になり、また、「登録有形文化財」(建造物)には、「小高記念館」(館山市)など「全国」で124件が新たに登録され、「計」10492件となったそうです。

 「屏風ヶ浦」の「国の名勝」および「国の天然記念物」の「指定地」、「面積」、「指定基準」、「文化財の概要」は、下記の通りです。

 屏風ヶ浦

 指定地

 銚子市春日町744番1 他 (屏風ヶ浦の一部)

 面積

 218376.96平方m

 指定基準

 名勝の部

 八 海浜、十一 展望地点

 天然記念物

 三 地質鉱物
 (二)地層の整合及び不整合
 (九)風化及び侵食に関する現象

 文化財の概要

 屏風ヶ浦は千葉県北東部に位置する下総台地を削る海食崖で、千葉県銚子市犬岩から旭市刑部岬まで、新第三紀鮮新世以降の地層から成る露岩の崖が約10kmにわたって連続する。
 一億年以上前の硬い岩石を基盤として約300万年前〜40万年前の海洋性の環境で堆積した犬吠層群と、その上に不整合面で接する内湾的な環境で堆積した香取層や関東ローム層から成る。
 切り立った落差約60mの崖は、比較的柔らかい火山灰層などから構成されており、波浪の影響で崖面から剥離・落下した土砂が沿岸流により常に運び去られることにより形成されてきた。
 その侵食速度はかつて年間50cm〜100cmと急激であった。

 江戸後期以降、その特徴的な地形が形作る景観が名所記や各所図会等の出版物に取り上げられるようになり、歌川広重の「六十余州名所図会」にも描かれた。
 そのような絵図等によって、現地を訪れたことのない人々にも屏風ヶ浦の一定の印象が広がったと考えられる。
 明治期以降は交通網が発達し、実際に訪れる人々も増加した。
 また、海食崖や愛宕山からの景観は絵葉書やパンフレットなどの題材になるとともに、現在までさまざまな文学作品にも描かれてきた。

 屏風ヶ浦の地形は、地質学上、また観賞上の価値が高く、重要である。

 ※千葉県HP 千葉県教育委員会「報道発表案件」より抜粋、原文まま表記

 そして、平成28年(2016年)3月1日(火)「官報」に告示され、正式に「屏風ヶ浦」が「国指定文化財」(「名勝」および「天然記念物」)に指定されました。
 「屏風ヶ浦」を含む「銚子市内」「全域」は、「貴重」な「地質」や、「地形」を保全しながら活用する「日本ジオパーク」に認定されていることから、「銚子ジオパーク推進協議会」「会長」を務める「越川信一」「市長」は、

 「これまで以上にジオパーク活動の中でその価値を伝え、屏風ヶ浦の景観を後世に継承するため魅力を世界中へ発信していきたい」

 とコメントしたそうです。
 また「銚子市」では、今後、この素晴らしい「景観」をどのように守り、将来に伝えていくか、そして「観光」や「地域振興」につなげていくためどんな活用方法があるかを銚子市全体で考えていきましょうとコメントしています。

 「銚子」の「景勝地」「屏風ヶ浦」の「国の名勝」および「国の天然記念物」の「ダブル指定」。
 この機会に「銚子市」に訪れてみてはいかがでしょうか?

 備考
 今回(昨年11月20日)の「答申」で、新たな「国登録有形文化財」(建造物)に指定されることも「実質的」に決定した「館山市」「館山」の「洋風建築」「小高記念館」ですが、大正11年ごろ、「館山市」に「本店」があった「旧・古川銀行」(現「千葉銀行」に合併)の「鴨川支店」として建てられ、昭和5年ごろに「現在」の「場所」に移築、「県議」、「衆院議員」を歴任した「小高憙郎(トシロウ)」氏の「事務所」などして使われていたそうです。
 「小高記念館」ですが、「館山市」や、「安房文化遺産フォーラム」によりますと、「小高憙郎」氏の「没後」、平成18年(2006年)に「地元」の「安房文化遺産フォーラム」が「活動拠点」(事務所)として使用を始めたそうです。

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| 地域情報::銚子 | 06:08 PM |

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